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ニャンジャ小屋

ニャンジャの隣にはサツマイモが転がってるだけ…。

手塚治虫と戦争

僕は本を読むのが好き。手塚先生の漫画も好き!というわけで、手塚先生の漫画を図書館で借りて読んでたのさ。そしたら、こんなものを見つけたよ。

 

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手塚治虫監修「世界の歴史13 第三帝国の興亡 ヒットラー第二次世界大戦

おぉ…なんという面白そうな本だ。手塚先生は、昭和50年代、小学生向けに歴史漫画を監修されてたのですね。あくまで監修なので、作画には関わってないけど、それにしてもこの作品は、まさしく手塚先生の漫画って感じがしました!

 

2人の美少年、ヤン・ロビツキとペーター・シュタイナーは小さい頃からの親友だった。ヤンは天才的なバイオリン弾きで、ペーターはピアノを弾いていた。

2人は仲が良く、よく一緒に演奏していた……ところが!

ナチスポーランドに侵攻してきたことにより2人は別々の道を歩むことになってしまう。ヤンはポーランド人で、ナチスの迫害の標的にされ、ペーターはナチスの党員だったからだ。

ヤンはオーストリアのアパートに住んでたけど、当時のオーストリアは既にナチスドイツの占領下にあった。そんなオーストリアポーランド人のヤンが居たら、ナチスに捕まってしまう。

ヤンは急いでオーストリアから逃げようと準備をするが、そのときペーターの妹のマリーがやってきた。

このマリーが、のちのちドラマチックな展開を引き起こすんだね。これね…小学生向けの歴史漫画なのに、すごいドラマがあって、手塚先生本気過ぎじゃないの??って思った。

ヤンとマリーは、一緒にナチスから逃げるが、途中でドイツ軍の空襲に遭ってしまい、一緒に逃げていた大勢の人々が死んでしまう。

そのシーンが結構残酷で、怖い。

マリーも足をケガしてしまい動けなくなってしまう。それでヤンたちは動けなくなって困ってると、1人のフランス人女性「ジャンヌ」が現れた。

実はジャンヌは「トリープ」という宇宙人で、フランス人に変装して地球人の調査に来ていた。兄のウィープも、「ジャン」という名前で変装してた。

ジャンとジャンヌは、怪我したマリーとヤンを車に乗せて自分たちの家に避難させてあげた。ジャンたちの家は農家だった。

 

個人的に思ったんだけど、この作品は、人物の作画はあんまり上手くないけど、建物や背景はすごい上手かった。ジャンたちの農家も、ヨーロッパの田舎の農家って感じで、良い家だなーと思った。

 

ヤンとマリーは、ジャンたちの農家でぐっすり休んだ。その頃、ナチスのペーターはというと…

ペーターは、ナチス親衛隊の少佐になり、またヒトラーお気に入りのピアニストになっていた。ナチス親衛隊とは、ナチスの中でも凶暴な連中が多くて、恐れられた組織のこと。

ただペーターは世間知らずなお坊ちゃんだった。こんなに出世できたのもペーターの父親がドイツ空軍少将だったからでしょう。

このペーターの父親は、ヒトラーのことをあんまり良いようには思ってなくて、ヒトラーに反発したために「東部戦線」という、当時もっとも激戦区だったところに物資輸送に行かされて、そこで戦死してしまった。

 

ペーターは、従者のシュッツ軍曹と、ユダヤ人収容所に視察に行く。

そこは、「アウシュビッツ」だった……

ペーターは収容所に着くと音楽が演奏されてることに気付く。

「へぇ、こんなところにも楽団があるのか」と、のん気に収容所の中に入っていった。そこでペーターは、ユダヤ人たちの群れを目撃して、衝撃を受けた。

そこに居たのは、楽器を持った、まるで死人のようなユダヤ人たちだったんだ!彼らはもう、生きる希望を失くし、ただ死ぬためだけにそこに居た。

 

ペーターは、ユダヤ人たちが収容されてるとは言っても、収容所では3食食事つきで、ベッドのある部屋を用意されてるものだと思ってた。ところが、実際はそんなことは無く、収容所の生活は悲惨なものだったんだと、そのとき初めて知り、ショックのあまりすぐその場をあとにした。

「人間の価値は人種で決まる。もっとも優れた人種はドイツ民族であり、もっとも劣っているのはユダヤ人である。」という文章がまた恐ろしい。

 

ユダヤ人が一体どれほど虐殺されたのか、詳しい数は不明ですが、一般的には、400万から500万人と言われています。

ヒトラーは本気で、ユダヤ人を全滅させようとしたのか……

 

 

その頃、ジャンたちの農家に避難してたヤンは、ナチスの食糧運搬係として、ナチスの内部に入ろうとしていた。もしポーランド人ということがバレたら収容所送りにされる危険はあったけど、その頃のヤンは、ジャンヌと一緒に自転車でデートもしてた。ヤンにとっては幸福な日々だったみたい。

ところが、一緒に農家に避難してたマリーは、ドイツ空軍少将の娘なので、ナチスが必死に行方を探していた。マリーはヤンのことが好きだったので、ヤンと一緒に居たけど、外に出たらナチス党員に見つかって連れ戻されてしまう。なので外には出られず、ずっと農家の部屋の中でじっと隠れていた。

そんなときに、ヤンはジャンヌとばかり毎日仲良く外で食料を運んだりしてる。マリーにとっては不愉快極まりない状況である。

外には出られない。ヤンはジャンヌとばかり楽しそうにしてる…マリーはすっかり落ち込んでしまった。

そして…何とマリーは、自分の居場所をナチスにこっそり教えてしまったのだ!!

 

「だって…だってヤンったら、ジャンヌとばかり仲良くしてるんですもの…それで私、もう何が何だか分からなくなってしまって……」と弁明するマリーがもう、かわいそう過ぎてみてられない(-_-;;)

ヤンが悪かったよね…マリーのことを全く見てなかったのだから。

ヤンにとってマリーはただの親友の妹ってだけで、ジャンヌの方が好きだった。

そして農家はナチス党員たちに取り囲まれ、襲撃されてしまう。ヤンとマリーは、地下道から逃げて助かってけど、ジャンヌは逃げ遅れ、農家は爆弾で吹き飛んだ。

それを見たヤンとマリーは、ジャンヌが死んでしまったと思い、ヤンは怒り、ナチス本部のヒトラーを暗殺する決心をした。

でも実はジャンヌは瞬間移動して助かってた。

 

ヤンは、ナチス憲兵隊に変装して、本部に潜り込もうとするが、検問所で正体がバレてしまい、捕まってしまった。

ヤンはその後激しい拷問を受け、地下牢に放り込まれてしまう。そして、もうじき点に召されるだろうと覚悟したとき、死んだはずのジャンヌが現れて、怪我を全部治してくれた。回復したヤンは、なぜさっきまで一人だった地下牢に死んだはずのジャンヌが居るのか?色々疑問はあったけど全部「夢」ってことであっさり片づけてしまう。

「ま、夢でも良っかー。」って…意外とカルイ人だった。

そして、地下牢でジャンヌのためにバイオリン演奏をした。曲は、ベートーベンの「春」。

それはペーターとの思い出の曲だった。

そして、その時ちょうど本部にはペーターが立ち寄っていた。ペーターは偶然、その音を聴いた。地下牢から流れるこの音は、まさか……

 

「ヤン、ヤン・ロビツキか?」と、地下牢で演奏する囚人に声をかけた。

「ペーター!ペーターシュタイナー!?」ヤンもびっくりして叫んだ。2人は地下牢で再会したのだ。

 

そしてペーターは、こっそり本部からヤンを逃がした。もし見つかったら軍法会議じゃすまないけど、それでも良いと。

 

その後、ナチスドイツは、敗戦ムードが漂い、本部の近くにも連合軍が侵攻してきたいた。そして…1発の銃声が響いた。ペーターたちナチス党員は、連合軍が攻めてきたのかと、慌てて銃声のした方に行ってみた。そこは、ヒトラーの部屋だった。

 

ヒトラーは、拳銃自殺した。

ペーターはショックを受けた。

ヒトラー総統が自殺してしまった…それでは今まで自分がやってきたことは何だったんだ?!ユダヤ人が、あれほど犠牲になって、それでも、それがナチスドイツがヨーロッパ最強国家になるためなら……と思い必死でやってきた…けど今、全部終わってしまったんだ……

ペーターは、精神が崩壊してしまった。連合軍がウヨウヨ居る戦場で、ナチス親衛隊の制服を着たままさまよう廃人になった。

そして、連合軍に見つかり殺されかけるが、そこに「ツベターエフ中尉」が突然現れ、ペーターを救った。ペーターにもはや戦う意思はないってことで。

ツベターエフ中尉は連合軍で、実在した人らしい。

 

ペーターは、「ヤンとマリーの居るウィーンへ帰ろう。」とブツブツ言いながら歩いてると、ちょうどヤンがそこに居た。マリーも、ペーターの変わり果てた姿を見て驚く。

そして、最後はヤンが、ペーターとの思い出の曲、ベートーベンの「春」をバイオリンで弾き始めた。

戦場の荒れ果てた町の中に、ちょうどピアノがあって、ペーターもヤンのバイオリンの音を聴いてるうちに、自然と指が動いた。そしてペーターは正気に戻って、2人は、昔のように仲良く演奏したのであった。

めでたしめでたし。。

 

この作品は、ホントすごい面白かったです。ただ、当時の小学校の教師たちからは、あんまり評価されなかったらしい。「歴史漫画なのに、変なドラマ入れてきて、もうそういうの求めてないから!」って意見が多かったらしいよ。確かに…歴史漫画としてはイマイチかもしんない。でもこれは是非おすすめしたいです。図書館で借りて読もうず。

 

ニャンジャ。